積極性と創造性

自ら課題を見つけ遂行する能力

私は学んだことを実際に応用することを常日頃から考えており、さまざまな場面で応用してきた。ここで紹介するエアロカバーはその一つである。

ロードバイクと空気抵抗

ロードバイクの走行時の最大の抵抗は空気抵抗である。ゆえに集団で走る時は風除けの仕事を交代で行い、全体の空気抵抗を削減しようとする(写真の先頭は先頭を引く仕事中の私である)。現在、自転車メーカーは空気抵抗を1wでも削減するために多大な努力をしている。空気抵抗削減の方法はいくつかあるが、その一つがブレーキや変速に必要なワイヤーをフレーム内に納めることである(内装化)。しかしながらそのようなハイスペックの自転車は非常に高価であり、またそれ以前の時代の自転車を所有している人にはワイヤーの発する空気抵抗を削減する方法は存在しなかった。私は東工大で機械工学と流体力学、そしてシミュレーションツールの使い方を学んだ。それらの知識を生かして私は後付けできる空力パーツの開発を行った。

         

ブレーキワイヤーのエアロカバーの開発

アイデアは単純である。円筒形をしたブレーキワイヤーに柔軟性を持った翼断面をしたカバーを装着することにより、空気抵抗の削減を狙うものである。CFD(コンピュータ流体シミュレーション)を用いて最適な形状を導き出した後、町工場にお願いをし、シリコンで試作品を作成した。また、そのカバーの装着によって実際に空気抵抗が削減できているのかを調べるために、小型の風洞を自ら開発し、それを用いて検証を行った。先行する研究のデータを用いて校正されたその風洞は、確かにエアロカバーによって空気抵抗が削減されていることを証明した。パーツの試作後、いくつかの企業にアイデアの提案を行った。ディスクブレーキの普及に伴い、ケーブルが外に剥き出しのリムブレーキ自転車の数が今後少なくなることから残念ながら採用には至らなかったが、企画から提案までを一人でやり通す良い経験となった。

詳しい開発記録は以下のページでご覧いただきたい。